第95回 日本産業衛生学会[2022年5月25日~28日、高知]

・騒音作業者のばく露計着用位置が測定結果に与える影響
上松葵、中市健志
ばく露計の着用位置が測定結果に与える影響について調査した。拡散音場においては、ばく露計の着用位置や反射による衣服の影響が小さかった。自由音場においては、肩・ヘルメットに着用させた場合、基準との差は小さく、音源とばく露計の着用位置との間に頭部や胸部が位置した場合、ばく露レベルが過小評価された。ポケット内及び衣服内にばく露計を着用する場合は衣服の素材によっては本測定以上の基準との差が生じた。ばく露計の着用位置の選定を行う際には、肩やヘルメットを選ぶ事が望ましいことが分かった。

・手持ち工具取扱い作業における騒音作業環境測定結果とばく露測定結果に関する一考察
東久保一朗(中央労働災害防止協会)、中市健志、佐藤成、大屋正晴、大淵和代(中央労働災害防止協会)、川本敏弘(中央労働災害防止協会)、圓藤吟史(中央労働災害防止協会)
手持ち工具による騒音ばく露状況の一事例として、圧縮空気を用いたエアー吹付による水切り作業とエアーレンチでのネジ締め作業の2作業場において作業環境測定とばく露測定を同時に実施し、手持ち工具取扱いでの騒音レベルについて知見を報告した。

・騒音性難聴防止のためのリスクマネジメントの提案
中市健志、上松葵
騒音性難聴は騒音に晒され難聴が発症するが、発症以前においても、高騒音作業下においては休業災害の発生率が高く、生産性が低下することが知られており仕事の効率化を阻む要因となる。騒音性難聴の発症のリスクを低減する方法を開発するために、騒音障害に関する文献調査を行い、騒音性難聴防止のためのリスクマネジメントの手法について検討した。調査結果によると、企業の多くが問題意識を持ち、騒音職場への対策を行っていることが分かった。一方、労災認定者数や近年の研究にて報告されているように作業環境測定、保護具の使用、聴力管理などに課題がみられた。